東京のコンサルティングで財務諸表の基本を学ぶ

2019/06/10 経営と数字
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ざるが5つ

 

突然ですが、子供のころにまたは今の子供たちが、

砂場で泥遊びをするときに、

“ざる”を遊具として遊ばなかったでしょうか。

 

その“ざる”をイメージしてください。

 

そのざるは、5つ重ねて使うタイプのざるです。

上の方から①②③④⑤の順番に重なっていて、

上の方のざるほど網目があらくなっています。

一番下にはボールが重なり、すべての砂を受け止めます。

 

そこへ、粒の大小入り混じった土砂を

バケツ一杯に入れて持ってきます。

 

こぼれないように、

すべての土砂を上からざるの中へ投入します。

 

すると、5つのざるにはそれぞれの網目より

大きな石や砂粒が残り、一番下のボールには

一番細かい砂粒がたまります。

 

 

粗利益(売上総利益)と原価

 

このバケツ一杯に入った土砂が、

会社が本業その他で稼いだ、

すべての売上げというわけです。

 

5つのざるのうち、一番上①のざるを外して、

②~⑤のざるとボールに残った土砂を足したものを、

粗利益(売上総利益)といいます。

 

逆に①のざるに入っている砂利は原価です。

会社が売上げを上げる際に、不可欠な経費です。

例えば飲食店なら食材にかかる費用などが、

この原価となります。

 

この粗利益は会社が生み出した付加価値と、

同じ意味とみられることがあります。

それだけ、原価は確実に必要となる経費である。

ということも言えます。

 

 

営業利益と販売費・一般管理費

 

さらに、①②のざるまで外します。

③~⑤のざるとボールに残った土砂を足したものを、

営業利益といいます。

 

②のざるに入っている砂利は、

販売費および一般管理費と言われる経費です。

 

販売費とは、

スタッフの人件費や、広告費などです。

一般管理費とは、

間接的に営業に関わってくる、

総務部やその他事務に

かかった費用などを言います。

 

これらの費用は、原価とは違い、

金額が売上げに直接関係ありません。

つまり一定の費用がかかるものが多く、

それらは固定費とも言われます。

 

①②のざるに入った土砂をあわせて、

営業費用という言い方もします。

 

 

経常利益と営業外収益・費用

 

ここから先は、

本業の営業と直接関係のない、

お金の出入りが主になります。

 

今度は①~③のざるまで外してみましょう。

④⑤のざるとボールに残った土砂を足したものを、

経常利益といいます。

 

③のざるに入っている砂利は、

営業外費用といいます。

 

営業外費用は、主に借金の利息、

株式の評価損・売却損などです。

 

また、営業外収益というものもあります。

これは、上記の反対で、貸したお金の利息、

株式の評価益・売却益・配当金、

貸し出した不動産の賃料などです。

 

この収益は例えで言うと、

別にどこからか土砂の入った

バケツを持ってきて、

③~⑤のざるとボールの上から

いれたということになります。

 

 

税引き前利益と特別収益・損失

 

残り2つとなりました。

次は④のざるをどかしてみましょう。

 

⑤のざるとボールに残った土砂を足したものを、

税引き前利益といいます。

 

④のざるに入っている砂利は、

特別損失といいます。

 

特別損失は、③の営業外損失のうち

一度のみ、

臨時に大きな損失が発生したときなどに、

別個で計上されるものです。

 

③の時と同様、④でも、

特別損失と反対に特別収益があります。

 

この場合もやはり、

別にどこからか土砂の入った

バケツを持ってきて、

④~⑤のざるとボールの上から

いれたということになります。

 

 

純利益と法人税

 

ここまでざるの目をかいくぐって

落ちてきた土砂たちに、

いよいよ待ち受ける最後の関門が、

みんな大好き法人税です。

 

ご存知のとおり、

⑤のざるに入っている法人税は、

ほかのざるとは違い、

⑤の上に落ちてきた砂に対して決まった比率を

召し上げることになります。

 

逆に言うと、⑤まで砂が落ちてこれば、

一定の比率で、必ずボールにも砂が

たまることになります。

 

そして、ボールにたまった細かい砂粒が、

待ちに待った当期の純利益=最終利益

ということになります。

 

 

損益計算書

 

5つのざるは、

それぞれの会社、業種、売り上げ規模などに

よって、ざるの網目、投入される土砂の量が

違ってくることになります。

 

それがそのまま、損益計算書で見る

利益率などの違いというわけです。

 

ここでは、カンタンのために目に見える

土砂で説明しました。

これが、赤字の会社の場合、

そもそもあるべきはずの土砂がそこにない。

ということになります。